くり返し思い出す嫌なこと…脳が刺激を求めている

悲しいことやショックな出来事…。思い出すとつらいのに、ついつい思い出してしまう…。
思い出したくないのに、つい思い出してしまうことってありますよね。
あなたにとって良くも悪くも、大きな影響を与える出来事というのは、あなたの脳にとって、大好物のごちそうなのです。
脳は、刺激が何よりも大好きなのです。
脳の仕組みを知ると、悩みからの脱出につながりますよ。
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目次
私たちを悩ませる困った脳の癖
私たちの脳は、刺激が大好きです。
刺激とは、楽しいこととは限らず、悲しいことやショックな出来事なども含まれます。
人から言われたひどい言葉や仕打ち、恋人と別れた悲しい記憶…。思い出してもつらいだけなのに、ついつい思い出してしまい、つらさを何度も再確認してしまう…。
私にも経験があります。思い出すたびに、胸が張り裂けそうなほどのつらさを感じてしまうのです。
こんなにつらいのに、どうして思い出してしまうのか?
それはただ単に脳が、私たちの気持ちとは無関係に、常に刺激を求めているから、なのです。
刺激を得られる方へと意識が向く
脳はいつも、なにか刺激的なことを求めています。
アーティストの新曲、新作映画、新商品など、私たちは「新しい」何かに弱いですよね。
今までとは違う「新しい」ものは「刺激」なので、脳がそれに反応してしまうのです。
最近のテレビ番組は、55分などの半端な時間から、次の番組が始まることが多いです。
「何時」という、ちょうどの時間は区切りになりやすく、その前にテレビを消す人が多いからです。
「何時」になる前に次の番組が始まると、「何だろう? 」と興味関心を引くことができ、そのまま次の番組を見ることにつながるからです。
耳は聞こえてくるものに、目は動くものに意識を持っていかれやすくなっています。
何か音がすれば、耳がそれをキャッチし、音がするほうに意識を向けようとします。
何か動くものが目の端に映れば、動くものを捉えようと意識を向けます。
こうして、脳は常に刺激を追うほうへと、意識を向けていくのです。
ただの刺激の再現は感情を増幅させるだけ
悲しさなどの感情を癒すことは、自分自身の解放につながります。
感情を癒すためには、その時の感情を思い起こす必要があります。
しかし、脳の「刺激を感じたい! 」という性質によるやみくもな再現では、その時の感情をいたずらに増幅させるだけです。
友達同士の話では、つい文句が出てしまいますよね。たとえば、
「ねー、聞いて。あの人ってば、こんなこと言ったのよ」
「うっそー。ひどーい。何それー」
「でしょー。ひどいよね。何考えてんのかなー」
といった感じです。
文句のはけ口は必要ですが、これでは「気持ちを分かって癒してあげる」というより、出来事のひどさを何度も確認して、大きくしてしまっています。
ひどいことが、より大きなひどいこと、になり、その認識は変わることはないでしょう。
脳が求めている「刺激」であることを理解して、くり返しを止める
くり返し思い出す嫌な出来事は、ただ単に、脳が刺激を欲しがっているだけ。
このことが分かれば、くり返しを止められます。
脳が刺激を求めるという性質を、こちらが利用するのです。
1、体の感覚に意識を向ける
グラウンディングを知っていますか?
まっすぐに立ち、足の裏が地面=地球とつながっていることを意識します。
呼吸に集中し、吐く息とともに、体のなかの余計なものが、足の裏から地面へと吸い取られていくことをイメージします。
この時、頭の先から足の裏まで、体の部分をひとつひとつ、意識していくようにしましょう。
グラウンディングをしなくても、姿勢を正し、今、頭や顔、首、肩、腕、手、背中、おなか…など、体の各部を意識して、どんな状態か確認してみます。
温かいか、冷たいか、寒いか、暑いか、重いか、軽いか、心地よいか…など。
温かさや冷たさなどは意識しやすいものです。
温かい飲み物や冷たい炭酸飲料を飲んだり、両手で頬杖をつくように顔を包み込んで、手のひらの温もりを感じたりすることも効果があります。
2、楽しかったこと、嬉しかったことを思い出す
同じ刺激なら、幸せを感じられるもののほうを、脳に与えてあげましょう。
あなたにも、思い出すだけでもニヤけてしまうような、幸せな出来事があったはずです。
つらい記憶に苛まれている時に、幸せな記憶を思い出そうのするのは難しいかもしれません。
そんな時にすぐ思い出せるように、普段から2つ、3つ、思い出すための幸せな記憶を用意しておくといいですよ。
普段から、幸せになれる記憶を用意しておくことは、「コーピング」といって、ストレスに対処するための「自分助け」という方法のひとつでもあります。
3、夢中になれることをする
何かに集中することも、脳が大好きな刺激です。
趣味やテレビ、映画など、自分が大好きで夢中になれるものに没頭します。
前述したように、聞こえてくる音や動くものに、脳は意識を向けようとするので、テレビなどは最適です。
のんびりお風呂に入ったり、おいしいものを食べたりと、リラックスすることもいいですね。
温かさや甘いものは、幸せを感じさせてくれる感覚です。
4.あえて、つらさに浸る
くり返し思い出してしまうなら、あえてつらさに浸る、という方法もあります。
友達などと文句を言い合うのも、結局は、自分のつらさを分かってほしい、からなのです。
感情をいたずらに増長させないコツは、正しい悪いなどの思考を捨てて、自分がどう感じたかという感情に集中することです。
その出来事によって、わたしは、悲しかった、つらかった、悔しかった…、などと感じた気持ちを言葉にするといいです。
それから、本当はどうなってほしかったのか、という自分の望みを考えましょう。
自分の望み通りになっていたならば、こんなにつらい想いはしなかったはずなのですから、その想いを、自分自身で分かって、認めてあげましょう。
まとめ
「脳が大好きな刺激は与えなくていい」は、いかがでしたか?
脳が常に刺激を求めている、ということを覚えておけば、それに応えなくてもいい、ということが分かります。
「ただの刺激」と割り切って、それに煩わされないような対処ができます。
脳の仕組みを理解することで、それを利用することもできますね。
ありがとうございました。
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